コーチって何をすればいいの?

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「アツトコーチ!」

子どもたちの元気な声がグラウンドでは日々飛び交っています。

最初は少し抵抗がありましたが、子どもたちや保護者の方々から「コーチ」と呼ばれる日々も慣れてきた今日この頃です。

しかし、スポーツ業界ではよく使われる「コーチ」という言葉ですが、学校などの「先生」とどう違うのでしょうか?

 

 

【コーチは目的地へのガイドさん 】

現在、コーチングはビジネスの現場でも使われるようになり、多くの書籍が国内外問わず存在しています。

コーチの語源は「馬車」を意味する古いアングロサクソン語からきています。行きたい場所に人を運んでくれるということですね。

それでは「コーチ」と「先生」は何が違うのでしょうか?

僕なりの定義を述べたいと思います。

 

コーチング(コーチ)

 → 目的地まで案内をしてくれる人

ティーチング(先生)

 → 目的地までの道筋を伝える人

 

学校の先生は黒板に算数では数式を書き、社会では歴史の流れや単語を書いて子どもたちにわかりやすく説明をします。子どもたちから質問が出てくれば答えます。

つまり、1つの設問に対して1つの手段と答えを伝える人です。

 

例えば、皆さんが山登りをするとしましょう。

入り口で皆さんは山頂までの地図をもらいます。受け付けの方(先生)から山頂までの行き方を教えてもらい、丁寧に道筋を赤いボールペンで引いてもらいました。

そして、受け付けの方(先生)の言葉と貰った地図をもとに山登りをまるで算数のテストを解き始める気持ちのようにスタートするのです。

親切な先生は山頂まで引率して下さるかもしれませんが、急な寄り道などは認めません。トイレ休憩は5分までと決まっています。バナナはおやつに含まれてしまいます。

 

一方、コーチは目的地まで連れて行ってくれる人、つまりガイドさんです。

なので、まずはどこに辿り着きたいのか、という目的地の確認から始まります。

なぜ目的地を確認するのかというと目的地が山頂という人もいれば、道中のお蕎麦屋さんという人もいるからです。

そして、皆さんの現状の確認も怠りません。もし、怪我をしている人や体力のない人がいれば、ロープウェイを使うこともコーチは考えます。

途中でお土産屋さんに寄りたい人がいれば、違った道筋も考えます。

道中での急な寄り道やお子さんが急に道から外れてカブトムシを取りに行ってしまっても優秀なコーチなら柔軟に対応します。

コーチは皆さんに合った手段で皆さんを目的地まで運んでくれます。

つまり、皆さんの意見(答え)や問題(設問)に対して複数の手段を導いてくれる人です。

 

 

【サッカーコーチにティーチングって不要なの?】

それではサッカーコーチは先生ではないのだから、ティーチングは不要なのでしょうか?

僕はそうは思いません。

やはり、基礎の部分はある程度のティーチングが必要です。

サッカーを始めたばかりの子などには特にそうでしょう。

スローインを知らない子に「どうすればスローインを上手く投げられると思う?」と質問したとしても意味はありません。まずはスローインのやり方を教え、見本を見せる必要があります。

 

 

【気付かせるコーチング】

ある程度、サッカーをやってきた子に対しては、質問を使って子どもが考える領域・範囲をより広げ、さらに自由に考えらえるようにしてあげることが大切です。

 

例えば、「シュートをたくさん決めたい」という子どもがいたとします。

 

今までは……

(C:コーチ/子:子ども)

C「どうすれば、シュートが入りやすくなると思う?」

子「強くて、精確に蹴る」

C「キックっていろいろあるけど、何があったかな?」

子「インステップ、インサイド、アウトサイド、トーキック……」

C「いつもはどこでシュートしてるの?」

子「強く蹴れるインステップ」

C「そうなんだ、インステップなんだね。それじゃ、インサイドではダメなのかな?」

子「インサイドだと強く蹴れないよ」

C「でも、パスくらいはできるでしょ?」

子「うん」

C「強いけどゴールの枠から外れるシュートと弱いけどゴールの枠の隅にしっかり入るシュート、どっちの方が点取れると思う」

子「弱いけどしっかり入る方」

C「それじゃ、インサイドでのシュートも練習しようか」

……のようなコーチングでも良かったでしょう。

しかし、小学校高学年・中高生くらいでサッカーを数年やっていればシュートでインステップ以外の手段も使えるということは分かると思います。

 

それでは「シュートをたくさん決めたい」という問いに対して、子どもたちの考える領域・範囲(自由度)を広げてあげると……

C「どうすれば、シュートが入りやすくなると思う?」

子「強くて、精確に蹴る」

C「キックっていろいろあるけど、何があったかな?」

子「インステップ、インサイド、アウトサイド、トーキック……」

C「いつもはどこでシュートしてるの?」

子「強く蹴れるインステップ」

C「インサイドではダメなの?」

子「無理」

C「なんで?」

子「近い位置からなら良いけど、遠いと無理」

C「それじゃ、遠い位置からでも点取るにはどうすれば良いと思う?」

子「もっとキックの練習!」

C「それも大切だけど、遠い位置からシュートをするとき君はいつもどんな状況?」

子「シュートするときはだいたい後ろから相手のボランチにプレッシャーをかけられるから取られる前にシュートしてる」

C「それって、本当にキックが悪いからシュートが入らなくなってるのかな?」

子「あ、そっか。ちゃんとボールもらう前に周りを見てなかったり、トラップが悪くてすぐにシュートできる体勢を整えてなかったからだ」

このような感じに、現状を分析し「気付き」を与える、「気付かせる」コーチングも重要です。

 

 

【まとめ】

先生は自分の持っている手段と答えを伝える人

ティーチングは自分の持っている答えをわかりやすく伝えること。

コーチは子どもの持っている答えに対して複数の手段を導いてくれる人です。

コーチングは相手が持っている答えを質問で引き出すこと。

子どもたちに合ったコーチングとティーチングの割合が重要です。

そして、コーチは「気付きの《きっかけ》を創り出す芸術家」なのです。

 

 

~子どもたちへ~

「誰もが自分の視野の限界を世界の限界だと思い込んでいる」

ショーペンハウアー(ドイツの哲学者)

 

もし挫けそうになったら、恥ずかしがらず周りの大人に相談してみよう。

ちょっとの隠し味で料理がおいしくなるように、ちょっとの勇気で君たちの世界は広がるはずだよ。